【第17話】 宵待草◆zGmkUMDv/mqt
『泣き女』
Sから聞いた話。
Sの友人が亡くなった(以下友人Aとする)。病気がわかってからあっという間だったらしい。
同級生であるSに知らせが届いた時にはもう葬儀は終わっていたそうだ。
Aは家族葬だったので、Sや他の同級生たちは弔辞を送ることもできなかった。
そんなことでもやもやしつつ、Sは大学時代の友人たちと連絡を取り合った。
とくにAと仲が良かったBはショックを受けているようだった。
とりあえずSはBを酒の席で慰めることにした。
するとBが、ぽつりぽつりと、こんなことを話し始めた。
ある夜、寝ていると廊下で絶叫のような大きな声がして目が覚めた。
ドアを開けてみると見知らぬ女が座り込んで手で顔を覆って泣いている。
その日は眠れなかった。
「その後すぐだよ。Aが亡くなったと知ったのは…」
でもそれが初めてのことじゃないんだ、と彼は続けた。
以前も夜中に女の泣き声で目が覚めたことがあった。
「その時はしばらくして、事故で多くの人が亡くなったんだ…」
「今度その女の泣き声が聞こえたら、次に死ぬのは俺かもしれない…」
【了】